ターゲットまで約2メートル。狙いをすませて、「えぃっ!」
あ、外れた・・・。気を取り直してもう一度。
「えぃっ!」・・・入った!小さくガッツポーズ。
はじめまして、四方山(よもやま)話担当(?)の、osです。
唐突ですが、ゴミをゴミ箱に捨てるとき、皆さんはどんな行動をとりますか?冒頭の「えぃっ!」は、私が家でついやってしまう様子です。もちろん、家族からはジロリとにらまれます。^^;
缶ジュースなどの自動販売機の横には、空き缶を捨てる「カゴ」がたいてい置いてありますよね。いや、「ました」。最近では、写真のような「穴あきの箱」が置かれていることがほとんどです。
この形の空き缶入れに捨てる場合、「えぃっ!」とはなりませんね。恐らくほとんどの場合、空き缶を手で持って、穴に押し込むという行動をとるでしょう。私もそうです。
どこかで読んだ話ですが、工業デザインの世界で、「アフォーダンス」(affordance)という言葉が使われています。人間が何かの行動を起こすとき、道具の形など、環境から得られる情報をもとに瞬時に判断して、その行動が自然に決まるという考え方があり、その「情報」をさす言葉だそうです。使いにくい道具というのは、アフォーダンスが良くない場合が多いそうです。「見た途端に使い方がわかる」ための情報と言ってもいいでしょうか?
アフォーダンスの点から見ると、「カゴ」の場合は単に「入れる」のほか、人によっては「投げ込んで~。」と言っているようにも見えてしまいます(私だけ?)。それに対し、「穴あきの箱」の場合は、「押し込むべし。」と言い切っている感があります。これに空き缶を投げ込むことは、少年期の星飛雄馬をもってしても困難でしょう。(古っ)
この「穴あきの箱」を考えた方は、なぜ利用者にこの行動をとらせたかったのでしょうか?ここから先は私の推測ですが、「投げ込むことで大きな音が出る」「中に残っている液体が飛び散って周辺が汚れる」「外れても拾わない人もいるので散らかる」を改善したかったのでは?
また、「上が開いていると、空き缶以外のものも入れられてしまう」「円筒形だと、設置スペースに無駄が発生する」あたりも改善したかったのかも知れません。なにより、「投げ込むな!行儀悪い!」というメッセージだったのかも?それを文字で書くと野暮になりますが、それを一切することなく、利用者を行儀良くすることに成功しているのです。
実にシンプルで地味な存在のこの「穴あきの箱」ですが、私は素晴らしいと思っています。最初に考えた人を抱きしめたい位です(オイオイ)。
このアフォーダンスという考え方、CAD/CAM等のソフトウェアにももちろん適用される訳です。我々も、よりよいUIを目指したいものです。このブログをご覧の皆さんは、機械等のハードウェアを設計なさる方が多いと思います。こんな点も頭に置いて設計してみてはいかがでしょうか。え?既にやってるよって?ハイ、失礼致しました。
さて、ゴミ捨てようっと。
「えぃっ!」あ、外れた・・・。
了
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