広告?キャンペーン?市場調査?etc.
「マーケティング」という言葉、結構誤解されているフシがある。
まあ、それらは確かにマーケティングの一部だが、本来はもっと大きな意味を持つ
ようだ。
「マーケティングとは、営業を不要にすることだ」との過激な説もある。他には
「商品が売れていく仕組み」という人もいれば、「顧客を営業の目前に連れてくる
こと」という人もいる。拙者としては、「人の流れを作ること」なんて言って
みたりして。
2月、草津に行った。春スキーって奴だ。今年は例年になく暖冬で、草津も例外では
ない。積雪量が昨年の5分の1だとか。おかげで午後のゲレンデは土だらけだ。いやはや。
雪はなくとも、草津といえば温泉。温泉といえば温泉饅頭。ここ草津には名物店がある。
「湯畑」から「賽の河原」へ向かう道中にある、えらく活気のある店だ。
ホカホカに湯気の立つ温泉饅頭を、道行く人に店員さんが配りまくっているのだ。
「え?いいの?すみませんねぇ。」なんて、完全に気付いているくせに、
人々は驚いたような顔で受け取り、ホカホカをほお張る。
「おー、うまい。」次の瞬間には別の店員さんが「はい、お茶どうぞ」と湯飲みを
渡してくれる。
「すげーぜ。温泉饅頭の次はお茶まで。太っ腹だなぁ。」なんて感心してしまう。
しかしただでは済まない。
「湯飲みはテーブルの上に置いといて」と、さりげない言葉が続く。
実はこれがすごい仕掛けだ。なぜならテーブルは店の中にあるからだ。
単に温泉饅頭を配るだけだったら、駅前で配られる試供品と同様、その人がその後
顧客として来店する確率はハナハダ低い。しかし湯飲みのお陰で、確実に店まで
お客さんを誘導できるのだ。紙コップでなく、陶器の湯飲みなのがミソだ。
湯飲みを持ってお店に入ると、別の売り子さん二人がサザエさんソックリの声で
畳みかける。
「餡まで自家製はこの辺ではウチだけ」
「600円からおみやげができる」
「他の店よりも200円も安い」
「草津のお土産は○○庵の温泉饅頭」etc.....
うぉー、す、すげぇぜ。包囲されてる・・・。
そうこうしていたら、拙者を置いて家族がこっそり店の外へ逃げる。あ・・・。
その結果、売り子さんに背中を向けて気配を消していた拙者がロックオンされる。
「ご・しゅ・じ・ん」 ; ̄ロ ̄)!!
「もうお土産はお済みですか?」
「この辺で餡まで自家製はここだけ」
「600円からおみやげができる」
「他の店よりも200円も安い」
「草津のお土産は○○庵の温泉饅頭」etc.....
ひゃ~!勘弁して・・・・。「ご、ごちそう様でした・・・。」と逃げ出す。
そんな拙者の後頭部に
「お帰りの前には必ずまた来てくださいね」
「○・○・庵・へ」
・・・そんな恐怖を用いるか否かは別にして、これぞ「人の流れを作ること」では
ないか!確かに「顧客を営業の目前に連れて」来ている。
恐るべし草津マーケティング!!
教訓:ただより恐ろしいものはない。
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