もう1か月ぐらい前のことですがあるお客様に尋ねた際に、「AliasデータをCatiaV5に持っていくと面が剥がれている」という話を聞きました。変換中に問題を起こす場合もありますが、多くの場合、Aliasデータに隙間があり、Catiaに持っていく前にちゃんとチェックしていないからです。基本的に、AliasデータをCatiaデータに変換する場合、サーフェスの形状だけではなく数学情報もそのままもっていけるので、Catiaでなにか問題が起こることは、元のAliasデータに問題がある可能性が高いです。
AliasデータをCatiaや他CADに持っていき前には、必ずデータに問題がないかを確認する必要があります。Evaluate > Check Modelにあらゆる問題を事前にチェックする機能があります(パッケージによって使える機能が異なります)。この機能では、面の重複、自己交差、最小要素、隙間などの問題を事前にチェックすることができるので、是非使ってください。
今回の問題になっている「隙間」ですが、Max. Gap Distance - G0を使ってチェックできます。上のオプションでシーンの中にあるモデル全部、選択した部分のみ、または見える部分のみを計算するかをチェックすることができます。
Check Modelを実行するとPreferecens > Construction Optionsで設定された許容差でモデルに隙間があるかチェックされます。
しかし、ここで注意しないといけないことがあります。Construction OptionsでCatia V5を選択してチェックしても、実際Catiaにデータを持っていくと問題になる場合があります。へー!なんで?と思われますが、Construction Optionsにある設定は、テンプレートみたいなものですので必要によってカスタマイズして使うためのものです。
例えば、下図にある立方体の隙間をCatiaの設定でチェックしてみましょう。デフォルトのCatiaの設定では隙間がないという結果になりました。
しかし、Catiaの設定を少し変更することで、隙間が見つかりました。隙間は小さいですが、Catiaが許している0.001mmより大きいです。
それでは、上の2つケースは何が違うのでしょうか。それはサーフェス間の連続性をチェックするサンプル数が異なることです。サンプル数が異なることはサンプリングする場所も違います。なので、この設定によっては、Aliasでは問題ないとチェックされたデータが、他CADでは問題が出る可能性があるとのことです。Catiaでもサンプル数を設定できますので、基本的にそのサンプル数と同じを設定できれば問題の解決につながることです。
このサンプル数は、Construction Optionsで設定します。Catiaの設定中、他の許容差はそのまま使うが、ここだけ変えたい場合は、CatiaV5設定をCopyして使います。下図にある、Curve Fit Checkpointsをデフォルトの10から100に変えます。これは、1つのスパンでどのぐらいのサンプルを取るかという設定ですので、100ぐらいであればかなり正確なチェック結果を得ることができます。
しかし、100以上を設定することはできません。どうしてもそれ以上を設定したい場合は、Evaluate > Surface Continuity でCheck Spacing Byを # Per SpanではなくArc Lengthに設定し、距離を小さくします。つまり、これを1mmと設定することは、スパンなどと関係なく1mm間隔でチェックをすることです。これを設定するとCurve Fit Checkpointsよりこの設定が優先されます。この値をあまり小さくすると膨大な計算時間がかかったり、Aliasが止まることもありますので、気を付けてください。
もう1つの方法が、ここはちょっと怪しいなというところだけサンプル数を増やす方法です。この場合は、通常のEvaluate > Surface Continuityでサーフェス間の連続性をチェックすると連続性のチェック結果が表示されます。これはLocatorを1種類ですので、選択されている場合はその状態でCtrl + 5でInformation Windowを立ち上げることができます。選択が解除された場合は、Pick > Locatorで選択できます。
Checkpointsを100以上に設定することもできます。通常300ぐらいにチェックして問題がなければCatiaでも問題がないと言われています。
面倒なプロセスのように見えますが、後行程を考えると欠かせないことです。最後ですが、0.001mm以上離れてもCatiaV5で結合や修復などで修正を行う方法もがあります。Aliasで作成したデザインデータをCatiaなどのCADで使うにはどんな方法がいいのかは会社ことに方法が違いますので、ちゃんと設計者と製品開発プロセス全体を考えた方法を模索した方がいいと思います。
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